国際課税勉強会28(税法上の借用概念)

今日は、国際課税一角塾に参加し、村井塾長より借用概念についてのレクチャーを受けました。

借用概念とは、租税法の分野では、租税法に規定されていない事項について、(主に)私法上に規定された概念を用いることをいいます。

たとえば、民法上の「住所」(22条)や、「法人」(33条)といったものです。このように他の法典から借用してきた概念にもかかわらず、それをめぐって租税法上の争いが起きることがあります。

民法上の概念がはっきりしていて、税法上も単純にそれに頼って判断をすればよいのであれば問題はありません。が、そう単純ではないのが実情です。

その理由の一つは、租税法は課税の公平とか、担税力とかを考慮しないといけないという点で、民法などの私法と目的が違うからです。

実際には、どんな場合にも民法上の概念に従うというわけにはいかなくなり、その傾向がますます大きくなる現代、基本的にはもう税法は借用概念から脱すべきという考え方もあるようです。

ただ、税法の立法趣旨が明確ではなく、趣旨目的適合説がうまく働かない場面では、十分な法的根拠のない課税を抑制するための歯止めとしての存在価値が、まだ借用概念にはあるのではないかという講義だったように思います。

金山知明税理士事務所・国際税務コンサルティングオフィス

神戸に事務所登録をしている税理士、米国公認会計士、大学教員です。

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