昨日、大学院での講義を無事に終えて、今日は国際課税「一角塾」に参加しました。
今日は移転価格税制に関して、「利益分割法」上の取引単位の考え方について争われた裁判例について勉強しました。
移転価格税制は、国外にある関連会社との取引を通じた所得の海外移転に対処するための制度です。海外の子会社等に対して、物やサービスを安く売ったり、それら会社から高く仕入れたりした場合に、適正な価格(独立企業間価格)に置き換えて、差額に対して課税するというルールです。
以前は、基本三法といって、「独立価格比準法」、「再販売価格比準法」、「原価基準法」のいずれかの適用を優先し、それが適用できない場合にのみ「利益分割法」等を使用できることになっていました。
基本三法を適用するためには、基本的に比較対象となる外部の取引を見つけて、それとの比較をすることが必要なので、その外部取引を見つけることが困難だという問題(納税者にとってはどちらかと言えば利点)がありました。
しかし、平成23年にベストメソッドルールというのが入り、基本三法の優先適用という縛りがなくなり、基本三法の適用を検討することなく、利益分割法等を適用できるようになりました。
利益分割法は、関連会社相互の利益を、様々な基準によって分割していわば擬制的に独立起業間価格を割り出すものなので、恣意性が入りやすいというのが問題だと思います。これは納税者にとって大きなリスクになり得ます。
納税者側も税理士も、知識をたくわえて、もし争いになった場合にも妥当な結果に着地させる(過剰な課税をさせない)こと、いかにそれをやるかが重要だと思いました。
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