非永住者の課税関係

神戸に来てから初めての確定申告シーズンですが、私のメインの仕事は大学教員なので、現状税理士業務はできる範囲内に限定しておこなっています。ただ、ありがたいことに今年は外国籍の方からの確定申告に関する相談を色々いただいてます。

日本にいる外国籍の方は、非永住者に当たる場合が多いです。非永住者とは、日本に住んでいるけど日本国籍がなく、簡単に言えば入国してから5年経っていない人のことです。非永住者の場合、外国で発生した所得は外国に置いている限り非課税です。

しかし、「送金課税」といって、その年に外国から日本に送金している場合は、外国所得のうちその送金額を限度として日本で課税される、つまり確定申告が必要になります(所得税法7条1項2号)。

この送金課税制度が意外とややこしく、特に国内所得と国外所得の両方があって、国外所得の一部を日本に送金している場合などは、国内所得と国外所得を、それぞれ国内受取分と国外受取分にまず区分して、その送金額から国内所得の国外受取分を引いたうえで、その残りを国外受取の国外所得と比べることになります(所得税法施行令17条4項1号)。

さらに、それを比べた結果国外所得の国外受取分より送金額の方が小さい場合は、その送金額に国外所得に占める各種所得の割合をかけて、送金課税を受ける国外の各種所得の金額を計算しないといけません(所得税法施行令17条4項4号)。

さらにさらに、その国外所得に占める各種所得の割合を計算するとき、給与所得については所得でなく収入金額を所得とみなして計算するみたいな特別ルールがあったりもします(所得税法施行令17条4項2号)。

そうして計算した課税国外各種所得金額に、国内所得と国内受取の国外所得に属する各種所得の金額を合算して、課税される各種所得金額を算出して確定申告することになります。このとき、国外所得に外国で所得税がかかっていれば、日本で外国税額控除します。

これを一度読んで理解するのは難しいですね。日本人でも難しいのに、入国間もない外国籍の方にはなおさらで、英語での説明が必要なケースが多いです。複雑な国際税務に、語学と税務の専門性を活かしてとりくむというのは、とてもやりがいのある仕事だと感じます。

📷六甲アイランド内にて

金山知明税理士事務所・国際税務コンサルティングオフィス

神戸に事務所登録をしている税理士、米国公認会計士、大学教員です。

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