今日は日本税理士会連合会の研究組織のウェブ会議に参加しました。僕は2年前から研究員として在籍させてもらっています。日本全国から少人数の税理士が集まり、特定のテーマについて、海外の税制を研究して報告するという組織です。
研究内容は、主に海外の税制なので、国内実務とはちょっと離れていることが多いですが、コロナの日常で狭くなりがちな視野を広く保つ意味で、会議は毎回鮮烈な印象です。高度で複雑なトピックを扱う上に、あまり筋書きのない会議を、効率よく進行させる委員長の手腕がすごいといつも思います。
現在は、諸外国の義務的情報開示制度といって、租税回避スキームを開発して販売する事業者に、税務当局にそのスキームを開示することを義務付ける制度(Mandatory Disclosure Rule)の研究をしています。
イギリスにはDOTAS(Disclosure of Tax Avoidance Schemes)という義務的情報開示制度があり、開示しないと高額の制裁金がかけられることになっています。
秘匿性の高い租税回避スキームを義務的に開示させること自体、かなり大胆な制度のように感じますが、租税回避商品がパッケージ化されて販売されることによる弊害が見過ごせなくなった結果だと思います。
とはいえ本来、取引の内容を隠すのでなく、開示するという行為は、好ましいことなので、そういう風潮が根付くのはよいと思います。ただそれを強権的に義務付けるのでなく、開示行為に対して利点を与えて自発的な情報開示を促す制度とするのがベストだと思っています。
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