とても暑い日が続きます。暑さに弱い私にとって厳しい季節ですが、なんとか研究の方もすすめています。
近年、一部大企業による国際的租税回避の横行が問題視され、その対抗策がOECDにより提案されています。これにより大企業は新たに様々な事務とリスクを負担することになりました。
現在は、OECDとG20が主導して国際合意に至り、昨年その内容が明らかになったグローバル・ミニマム課税の手続的な面について検討しています。
連結売上高750億ユーロ(約1100億円)以上の多国籍企業は、このグローバル・ミニマム課税によって、ある国における負担税率が15%未満の場合、国別の実効税率15%に達するまでの税額を(典型的には)本国で課税されることになりました。
国別の実効税率15%未満かどうかについて、基本的に企業側で詳細な計算を行って、「情報申告書」という形でその結果を提出しないといけないことになっています。日本でも、来年度からこの制度が導入されます。
グループの代表企業によって提出されるこの情報申告書は、国際的情報交換合意に従って、国家間で自動的に交換されます。税情報の透明性という意味では肯定されている枠組みですが、企業側の事務とリスク負担は間違いなく増大します。
EUのように人権条約や基本権憲章によって納税者の権利が保障されている環境があれば、均衡がとれているとも言えますが、日本では企業のそうした負担に対して、権利保護によるバランスが取れていないと感じます。
個人納税者と、法人(しかも大企業)は違うので、法人にそこまで権利保護を与えなくてもよいという考え方もありますが、私は、相手が個人であろうが法人であろうが、法に従って行動してもらうためには、義務負担と権利保護のバランスが必要だと思います。
グローバル・ミニマム課税に関して、問題は大規模多国籍企業にどこまで権利保護が必要かという点です。税理士という立場上、どうしても納税者側の立場になりがちですが、客観的なEU法の研究を通じてその点を考えています。
📷雨上がりのマリンパーク(昨日)
西側の埠頭にはいつも大型コンテナ船が停泊して積み下ろしをしています。
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